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RFP(提案依頼書)は、企業がシステムの構築やリプレイスを行う際に不可欠な資料です。本記事ではRFPについて、その重要性や基本的な内容について解説します。

RFP(Request for Proposal)とは? 適切なシステム提案を受けるために必要な書類

システム検討や導入の際によく耳にする「RFP」という語。これは、日本語訳すると「提案依頼書」となります。発注側企業のIT担当者や情報システム部門の担当者が、SIerやシステムベンダーに対してシステム構築・リプレイスを依頼する際に、自社システムに必要な要件や実現したい業務(解決したい課題とあるべき姿)などを示す書類です。RFPのメリットについては後述しますが、システム発注の際には必ず用意しておきたい書類です。

似た用語に「RFI(Request for Information)」があります。こちらは、「情報提供依頼書」と訳され、発注側企業がSIerやベンダーに対して、会社情報や実績、提供可能なサービスの情報などの提示を求める書類です。いずれも適切なシステム提案を受ける上で必要な書類といえますが、RFIは一次選考のための書類、RFPは二次選考のための書類という場合が多いようです。また、発注側企業の中には、企業情報や実績、提供可能なサービス情報などはWebサイトから得られるため、RFIを省略するという企業もあります。

■図1 RFPとRFIの違い
図:RFPとRFIの違い

RFPの意義とは?理想的なシステム構築に向け最適な提案を引き出すこと

検討している人

SIerやベンダーは、発注企業が用意したRFPをもとにシステム提案をすることになりますが、もしRFPがない場合、どのような問題が起きるでしょうか。ここでは、RFPがない場合とRFPがある場合、それぞれのメリット、デメリットを見てみましょう。

①RFPがない場合

●メリット
  • 発注の準備に手間をかけずに済む。
  • 発注までの時間や人手が少なくて済む。

●デメリット
  • 自社が求めるシステム要件がSIer、ベンダーに適切に伝わらないので、その結果下記のような問題が生じやすい。
    • 複数のSIer、ベンダーに依頼する場合、それぞれがシステム要件を独自に解釈してしまい、異なる観点からシステム提案を受ける可能性も。システムの比較・選定が難しくなる。
    • 伝え漏れが発生し、提案に不足が生じてしまう。
  • 自社システムの現状を見直す機会を持てず、自社課題が抽出しきれない可能性がある。
  • システムの将来像、あるべき姿が明確にできないまま、システム選定を進めてしまう恐れがある。

②RFPがある場合

●メリット
  • 自社が求めるシステム要件をSIer、ベンダーに正しく伝えることができる。
  • SIer、ベンダーを選定する時に、比較すべき項目が明確になる。
  • 自社システムの現状を見直し、課題を確認できる。
  • 自社システムが将来ありたい姿を明確化し、社内およびSIer、ベンダーと共有できる。

●デメリット
  • 発注前の作業に労力がかかってしまう。
  • RFPの準備には時間がかかってしまう。

RFPの有無とメリット・デメリットを一覧にまとめると下表のようになります。

ケースメリットデメリット
①RFPがない場合
  • 手軽に発注できる
  • 発注までの時間が少ない
  • 要件がSIer、ベンダーに適切に伝わらず下記の問題が生じる
    →SIer、ベンダーがそれぞれ独自解釈し、比較・選定が困難になる
    →伝え漏れが発生し提案に不足が生じる
    →他システムとの連携に影響する
  • 自社システム見直しの機会を持てず、自社課題が抽出できない可能性がある
  • 将来像が不明瞭なまま、システム選定を進める恐れがある
②RFPがある場合
  • 要件をSIer、ベンダーに適切に伝えられる
  • SIer、ベンダーを比較しやすい
  • 自社の現状を見直すことができる
  • 将来のありたい姿を明確にできる
  • 発注前の作業が大変
  • RFPの準備に時間がかかる

また、RFPを適切に作ることで、経験豊富なSIerやベンダーから、自社でも気づかなかった課題に気づいてもらえたり、課題解決に向けた最適なシステム提案を受けられたりすることにつながります。

RFP策定開始前にすべきこと 全社システムにおけるプロジェクトの位置づけを確認

RFPはシステム導入プロジェクトの中でどのタイミングで作成するのが適切なのでしょうか。一般的なシステム導入プロセスとともに考えてみましょう。

■図2 一般的なシステム導入プロセス
図:RFPとRFIの違い

RFP策定に入る前に、導入・リプレイスするシステムが全社システムの中でどのような位置づけであるのかを確認しておくことが重要となります。対象システムの導入・リプレイスが他システムへ大きな影響を与える場合、経営課題やIT戦略を踏まえて考えなければなりません。企業が目指すべき方向性に沿って、全社的なシステム計画とともに考える必要があります。

こうした他システムへ与える影響が大きいシステムのRFPを作成する際には、情報システム部門、ユーザー部門だけではなく、経営層からもインタビューを行う必要があります。この作業は「ITグランドデザイン」という独立した工程で実施されることもあります。

一方で、ほかのシステムとの連携がほとんどないようなシステムであれば、特定のシステム課題に着目するだけで済む可能性があります。この場合には、社内でインタビューを行う範囲はあまり広くはないでしょう。

このように、まずは企業のシステム全体像をとらえ、それぞれの関係性を把握してから、RFP策定を行います。はじめにしっかりとシステムの位置づけを捉えてRFPを策定することが、その後、最適なベンダー選定やシステム構築につながっていくのです。

RFPの構成要素とは? 現状課題とあるべきシステムを明確に打ち出すこと

キーボードを打つ手

「RFPにはどのような内容が掲載されるのかイメージしにくい」という方に向け、一般的なRFPの構成要素について紹介します。RFP全体の流れとしては、自社の業務においてどのようにシステムを活用したいのか、その概要を伝えてそこから各論について述べます。同時に業務要求や技術要求、運用要求、スケジュールや予算、解決したい課題、必要な機能などを伝えます。

その中で最も重要なことは、自社システムの実情と抱えている課題(As Is)と、どのようなシステムを構築したいのかという将来像・理想像(To Be)が、SIerやベンダーに伝わるようにRFPを構成することでしょう。では、主な構成要素を下記に掲載します。

【提案依頼概要】
プロジェクトの全体像を伝える部分です。

【提案依頼手続き】
提案のスケジュール、条件(予算を含む)などを伝える項目です。

【提案依頼内容】
提案してほしい内容、範囲を伝える項目です。

【プロジェクト実施にあたっての取り決め】
プロジェクトの実行体制、実行場所、各種費用負担などを伝える項目です。

【現行システムの課題と解決イメージ】
現在のシステム上抱えている「課題(As Is)」と「あるべき理想的なイメージ(To Be)」が記載された項目です。この項目は、実情と理想像をSIer、ベンダーに伝えるための重要な項目です。その際に、一覧やイメージ図などを用いて伝えることも有効です。

▼課題(As Is)とあるべきシステム(To Be)を図解することも有効
図:As IsとTo Be

【機能要求】
理想を実現するために、どのような機能が必要なのかをSIer、ベンダーに伝え、現実的な提案を受けることを目的としています。

【非機能要求】
ユーザビリティ、性能、拡張性、セキュリティなどの非機能要求を伝える項目です。

【設計、開発、テスト要求】
設計段階から開発、テスト段階で必要な条件について伝える項目です。

【移行、教育要求】
システムの移行時の内容、教育についての条件を伝える項目です。

これらの要素を盛り込んだRFPの構成(目次)は図3のようになります。もちろん、RFPを策定する会社の置かれた状況、目的によって、構成要素は異なります。

■図3 RPFの構成例(サンプル)
図:RPFの構成例

まとめ RFPのメリットを理解して適切なシステム導入へ

ここまで見てきたように、RFPは社内システムの導入、リプレイスに必要不可欠なものです。適切なRFPは「複数のベンダーの提案を適切に評価できるようになる」「システムに求める内容が明確化され、ぶれなくなる」「後の契約トラブルを防ぐことができる」「現在の社内の課題の洗い出しにもなる」など、数多くのメリットがあります。しかし、RFPを作成するとなると、専門的な部分が多い、作り方が分からない、難しそうといった声があることも否めません。そこで、下記に一般的なRFPのサンプルを用意しました。ダウンロードして自社システムのRFP策定時にご活用ください。また、「RFPの作り方」については、こちらの記事をご一読ください。

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