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株式会社アダストリア様:MDM基盤

関連ソリューション・サービス

全社のマスターデータを統合管理して
ビジネス変革に柔軟に対応できる環境を実現
統合的なデータ活用基盤を構築し、
アパレルを軸にした新事業展開に挑む

お客様の課題

アパレル以外の事業拡大を進める中、アパレルを前提としたデータ構造では増加するデータへの対応に課題が生じ、ビジネス変革・拡大に柔軟に対応することを求めた。

解決ポイント

マスターデータ管理サービス(MDMとデータ連携基盤を含めたサービス)を導入し、高品質で柔軟性の高いデータマネジメントを実現した。

データ活用がうまくできない企業に共通する課題

 ヒト・モノ・カネに続く第4の経営資源といわれるデータ。その重要性は理解していても、うまく活用できていない企業は多い。要因の1つとして、ビジネスの基本となる「マスターデータ管理(MDM)」の問題がある。

 例えば、マスターデータを組織ごとに異なるシステムやルールで管理していて、全社横断的なデータ分析や事業施策の検討ができない、あるいはデータが不特定多数の部署で入力され、コストをかけてマスターデータの品質を高めないと正しい意思決定が行えない、といった課題がある。

 また、データが部門ごとにサイロ化され、多様なカテゴリ、および新規事業展開に向けた柔軟なマスターデータ管理ができていない企業も多い。システム間のデータ連携を個別に行わなければならず、運用コスト・管理コストに悩まされている企業もあるだろう。

 こうした課題を解決するために、MDMやデータ連携の仕組みが重要だ。社内のマスターデータを一元管理し、データ活用による戦略的なビジネス推進の基盤となる。DXの推進はもちろん、激しい事業環境の変化に合わせたビジネス変革を行う上でも必須となる。

 アパレル大手のアダストリアも、マスターデータ管理とデータ連携に課題を抱えていた。同社は2015年3月、アダストリアホールディングス、ポイント、トリニティアーツの3社を統合・合併して誕生。データに対する考え方や構造も異なる、各旧システムのマスターデータを使い続けてきた経緯がある。そこで、アパレル以外の新業態・新業種を見据えたMDMソリューションとデータ連携基盤(データHUB)を導入し、ビジネス変革の基盤づくりを進めている。

 アダストリアはどのようにしてMDM を構築し、それによって同社のビジネ ス展開にどのようなメリットが生まれ ているのか紹介する。

新業態・事業の追加にも対応できる データ活用基盤が必要に


アダストリアグループは2023年に創業70周年を迎えた。人々の生活をワクワクさせる「Play fashion !」をミッションに掲げ、「GLOBAL WORK」や「niko and ...」など30以上のブランドを国内外に展開する。アパレルを中核に、飲食や住環境、アウトドア、スポーツ、 さらにはBtoBビジネス、Webなど事業境域の拡大に取り組んでいる。

ライフスタイル全般にわたる多彩なブランドを展開する同社にとって、「データは新たな顧客体験を創造する“攻めの武器”」だと考えています。

お客様はもちろん、従業員もワクワクするような環境をつくり、CSとESの両方を高める。そして、アパレル以外の新業態を展開する全社戦略を進めるためにも、データ活用基盤の構築が喫緊の課題になっていたのです」とアダストリアの岩佐 忠明氏は打ち明ける。

特に問題になっていたのは、アパレル事業を前提としたデータ構造だ。

アパレルのシステム体系でマスターデータを管理していたため、新業態や新戦略の視点での集計・分析が難しかったという。例えば「niko and ...」はアパレルだけでなく、インテリアや生活雑貨、飲食などの業態を扱っているが、アパレル系にシステムを追加する形になっていたため、事業拡大とともに増え続けるデータへの対応に問題が生じていた。そのため、新業態・事業の追加にも柔軟に対応できるデータ構造にして、事業ごとの集計・分析が迅速に行える仕組みが求められていたのだ。

「また、従来のシステムはマスターデータ管理に必要なコードの桁数が枯渇しており、桁数を追加するにも大規模な改修が必要でした。そのため、将来のデータ活用を見据えた桁数の確保も課題となっていました」と同社の河原林 泰地氏は話す。

サイロ化された複数システムにマスターデータが分散していたため、開発や登録運用が非効率になりがちで、システム連携が複雑化する問題もあった。システムのメンテナンスは専門知識のあるエンジニアでなければ対応できず、マスターデータの集約・一元化による開発・運用の効率化とシステムの安定化が必要だった。

さらにデータオーナーが不明確でデータガバナンスの観点でも課題があった。

「申請フローが統一されておらず、上長の承認なしに申請が上がるなどの問題もありました。

そこで、マスターデータの運用を整理し、ワークフローによる登録を進めるなど、ガバナンスとデータ精度の向上が求められていました」と岩佐氏。

また、セルフEAI/ETLツールを導入してシステム間のデータ連携をさせていたが、ガバナンス統制がきいておらず、問題発生時の原因究明に時間がかかり、運用における問題が顕著になってきていた。

日本の商習慣に合わせた ワークフロー機能を備えるMDM

同社はこうした課題の解決に向けてMDM製品・サービスの検討を重ねてきた。「できるだけコストを抑えられ、早期導入が可能なパッケージ製品であることと、日本の商習慣に合わせたワークフローに対応できることを要件に選定しました」と河原林氏。

そして、最終的に選択したのが、NTTデータビジネスシステムズが提案するMDMソリューションだった。

NTTデータビジネスシステムズの提案は、マスターデータ管理サービス(MDMとデータ連携基盤を含めたサービス)として、NTTデータイントラマートのエンタープライズローコードプラットフォーム「intra-mart」をベースとしたMDMソリューション「J-MDM」と、AWSマネージドサービスを活用したデータ連携基盤(データHUB)を組み合わせ、高品質で柔軟性の高いデータマネジメントを実現するものだ。intra-martを基盤にすることにより、日本の商習慣や内部統制で求められる変更・申請・承認のワークフローなどに対応し、利便性の高いMDM基盤の構築が可能となった。

「intra-mart、J-MDMともに日本企業の業務プロセスに精通した純国産のパッケージです。J-MDMにはマスター管理画面、採番管理、ワークフロー統合などのマスターデータ管理に必要な機能が備わっています。さらに、intra-martが開発基盤にあることで、マスター項目の変更・追加、証跡管理などのユーザーに必要な機能をローコードで追加でき、拡張性の高いMDMシステムを実現します」とNTTデータビジネスシステムズの日暮 拓也氏はMDMソリューションの特徴を話す(図1)。

前述の「データオーナーが不明確」という状態は、実はほかの企業でもよく見られる課題である。アダストリアの場合は、企業統合が進んだ結果であることに加え、複数部署でデータを共有していたことも遠因となっており、改めて整理する必要があった。そこで、NTTデータビジネスシステムズでは、MDM構築を開始する前段階のフェーズとして、構想策定を実施。マスターデータの生成・蓄積・公開・利用にかかわる管理のあり方を運用体制やルールを含めて規定し、設計・構築を行うため、マスターデータの一貫性を保つガバナンスが可能となる(図2)。

図1 NTTデータビジネスシステムズが提案売るMDMシステム
MDMシステム イメージ図

図2 MDM構築の主な流れ
MDM構築の主な流れ


新業態・新事業にも柔軟に対応できるマスター構造

アダストリアでは優先度に応じ3つのステップに分けてMDMを導入した。ステップ1は組織・商品系マスターのMDM移管と併せてデータ連携基盤を構築し、2023年7月から稼働を開始している。「ブランドごとに異なっていたコード体系を統一化し、正しく整理して分析しやすい階層に整理しました」と岩佐氏。

新業態を見据えたデータ構造を考え、新たに追加が予想される項目などを織り込み、新業態・事業の展開にも柔軟に対応できる構造にしたという。

MDMの要件定義から設計・構築にかかわったNTTデータビジネスシステムズの兼澤 健吾氏は「アダストリア様の将来構想を見据えながら、理想のマスター構造を考えました。既存業務とひも付いたマスター構造と未来のマスター構造のバランスを工夫しています」と話す。

「当社のDX戦略部と現場部門との検討会議にNTTデータビジネスシステムズも同席くださり、先を見据えてどうするべきか、どうあるべきかを一緒になって考えてくれるなど、本当にコミュニケーションを密に取って対応してくれました」と岩佐氏も語る。

ステップ1の組織・商品マスターのMDMが稼働を開始して間もないが、導入効果について岩佐氏は「安定的に運用できています。従来は組織・商品マスターの運用、およびデータ連携に関する対応を外部のパートナー企業に委託していましたが、グループ内で運用することにより、委託コストを削減。その分、IT投資に回すことができています」と評価する。運用コストの削減額は概算で年間約4000万円に上るという。また、グループ会社が行っている障害者雇用でマスター登録を委託しているのだが、「登録・申請・承認のワーフローがしっかりできているので、IT専門家でなくても登録の画面操作が簡単に行え、新たな雇用創出にも貢献しています」と河原林氏は述べる。

また、新しいマスターを追加したいといった要望にも、従来は1週間程度かかっていたが、今は2日程度に短縮するなど、マスター作成のスピードアップを可能にしている。ステップ2では取引先系マスター、ステップ3では店舗系マスターをMDMに移管する計画だ。「今後、整理されたマスターデータを軸にしたデータの活用・分析を行っていきます。NTTデータグループは豊富な知見を持っているので、これからも一緒に考えていってほしい」と岩佐氏と河原林氏は期待する。

NTTデータビジネスシステムズは同社のビジネス革新を支援するため、データ活用・分析を支援する多くの実績・アセットを活用し、データ資産価値最大化に向けたデータ連携基盤の拡張や成果につながるデータ活用の実現に向けて伴走していく考えだ。

※掲載している情報は、日経 BPの許可により「日経クロステック Active Special 」に2023 年 12月4日より掲載された内容を再構成したものです。©日経 BP


アダストリア
株式会社アダストリア
※2025年9月1日社名変更:株式会社アンドエスティHD

  • 事業内容
    衣料品・雑貨等の企画・製造・販売
  • 設立
    1953年10月22日
  • 住所
    東京都渋谷区渋谷2丁目21番1号 渋谷ヒカリエ 27F
  • URL
    https://www.adastria.co.jp/

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