IT基盤構築 導入事例 独立行政法人中小企業基盤整備機構 様

Introduction Example

オープンソースを活用して高度な機能をフルスクラッチで開発

「クローラー」と「名寄せ」機能の実現により
中小企業への支援サービスが向上

お客様の課題

  • 組織統合前の旧3法人それぞれが保有していた事業別のシステムに、中小企業への支援履歴データが散在していたため、それらを一元的に参照できる仕組みの実現が望まれていた。
  • 複数のシステムに保管された履歴情報は、重複やフォーマット形式が異なるものもあり、内部のマンパワーだけではデータ統合は困難な状況にあった。
  • これまで収集した企業情報を、全国各地の中小企業支援に役立てたかった。

解決策のご提案

  • 中小機構内各所に散在していた情報を横断的に参照できるようになった。また独自開発のクローラーで収集した企業情報を追加し、迅速かつ的確な施策提供が可能となった。
  • 独自に開発した企業情報の名寄せ機能やデータクレンジング処理、機械学習機能によって、判別・検索精度が飛躍的に向上し、職員の業務負荷も軽減できた。
  • 中小企業支援の最前線である各地の地域本部で、より効果的な施策提供に向けた情報を得る手段としてデータベース活用が進んでいる。

課題解決までのレポート

年度ごとの開発テーマを設定して、
3年間でデータベース整備に取り組む。

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日本国内の企業数の約99.7%を占める中小企業は、まさに日本経済の屋台骨というべき存在だと言える。そんな中小企業の起業・創業期から成長期、成熟期までの各ステージに合わせて「経営相談」「専門家派遣」「人材育成」「共済事業」「災害復興」などの支援メニューを提供しているのが、独立行政法人 中小企業基盤整備機構(以下 中小機構)だ。2004年に3つの特殊法人が統合して設立された後、それぞれの領域の経験とノウハウを生かして支援施策を展開してきたが、各々が個別のシステムを運用していたため、組織横断的な情報の共有・活用がうまくできないことが課題となっていた。

「私どもは、経営相談・研修・資金支援などのソフト面からまちづくり・産業用地提供などのハード面まで、多種多様な中小企業支援事業を行っており、それらの事業を通じて得られたデータは、事業別のデータベースに保管されていました。しかし、近年ビッグデータが注目される中、機構内の膨大なデータを一元的に分析することで、より有効な支援提供が可能になるのではと考えるようになり、事業間の情報連携を目的とした『小規模事業者統合データベース』を整備する3ヶ年計画のプロジェクトを2014年にスタートしました」と販路支援部の村井振一部長は語る。

「小規模事業者統合データベース」の開発を担うベンダーの選定では、金額だけでなく技術面も含めて評価する総合評価方式の競争入札が行われ、NTTデータビジネスシステムズも企画書など書類一式を揃えて参加。初年度である2014年は、いくつかの開発テーマのうち、インターネット上の国内企業のホームページから企業情報を収集する「クローラー」機能の開発を担うベンダーに選定された。その後、2年目の2015年は、機構内の個別システム内に存在する複数の企業データを紐づける「名寄せ」機能の開発を担当。企業版マイナンバーと言われる国税庁発行の法人番号をマスターキーとした機構内企業情報の一元化を実現した。そして、最終年度である2016年は、これまでに収集した企業情報のうち公開可能な情報を関連団体などが閲覧できるようになる「外部公開」機能についてもNTTデータビジネスシステムが担当。これは2014年に構築した「クローラー」機能を応用し、法人番号情報を基に収集した中小企業の業種を自動判別する「機械学習」機能の導入という、難易度の高い仕組みづくりを任されたものである。

加えて、2016年はこれまでに開発された検索システムの機能改善として、あいまい検索やサジェスト検索等の導入により大幅に検索精度が向上し、職員の業務負荷軽減とアクセス数増加を実現している。
「初年度の入札では、複数のベンダーが業務を受注しましたが、現在はNTTデータビジネスシステムズがすべての業務を請け負っている状況です。その理由は、こちらの要望に対して多くのアイデアを出してもらえ、その上で建設的な議論を交わしながら進められるというユーザー視点を重視した仕事の進め方だからだと感じています。また、厳しいスケジュールにも関わらず、一度も遅延を起こさなかったプロジェクト管理力も評価しています」と語るのは販路支援部販路支援課の豊田祥平課長代理。このように初年度、2年目は一つの開発案件を担当していたが、3年目にすべての開発を任されることになったことは中小機構側から技術力や提案力を認められた証だと言えるだろう。

小規模事業者統合データベース システム図jirei_system.jpg

選択の決め手

業務課題に応じた問題解決を
パッケージソフトに頼らず高い技術力で提案。

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今回、NTTデータビジネスシステムズが採用された理由は、オープンソースを活用してゼロベースからフルスクラッチで開発するという技術提案が評価されたことが挙げられる。広く公開されているオープンソースのソフトウエアは、ソースコードを活用できるため短納期でのシステム構築が可能になるだけでなく、工夫次第で速度面でも精度面でも十分な性能を発揮でき、既存システムとも柔軟に連携可能だ。こうしたオープンソースの価値やNTTデータビジネスシステムズの長年の実績に裏付けられたSI力を理解してもらえた結果、「小規模事業者統合データベース」整備事業の初年度には、高い技術レベルが求められる「クローラー」機能、次年度には「名寄せ」機能の開発を任されることになった。

特に、「名寄せ」機能の採用経緯について、村井振一部長は以下のように振り返る。
「入札前には既存のパッケージソフトを使用するという案もありました。しかし、各事業のデータフォーマット形式がバラバラだったことからパッケージでの対応は難しいのではという意見も挙がっていました。そうした中、NTTデータビジネスシステムズから、中小機構に合わせた柔軟なシステムをゼロから開発するとご提案いただいたため、同社を採用することにしたのです」。さらに、他社よりスキルが高いことから安心感を得られただけでなく、常にユーザー視点を持った提案をしていただけたことで信頼感向上につながったと豊田祥平課長代理は続ける。「名寄せシステムづくりでの最大の課題は名寄せ自動化における一致度の判定基準でした。判定基準を低くすることで自動化の範囲が広くなり運用負担は軽減しますが、異なる企業同士を結びつけてしまうことは絶対に避けなければなりません。その一方で厳格に判定しすぎるのも運用負担増につながります。そうした中でNTTデータビジネスシステムズから、企業名や住所の表記揺れを直した上で一致度を点数化した「しきい値」を設けて判定する仕組みを提案いただき、機能として実装してもらったことに非常に感謝しています」。

「小規模事業者統合データベース」完成により利用者が得られるメリットは以下の通り

①データベース整備によって機構内各所に散在していた情報を一元的に参照可能となる。
②名寄せ機能やデータクレンジング処理、機械学習機能によって、判別・検索精度が飛躍的に向上。
③各地の地域本部で、より効果的な施策提供に向けた情報を得る手段としてデータベース利用が浸透。

将来の展望

日本の元気を支える中小企業への支援強化を目指すため、
中小機構内部だけでなく、外部にも活用を拡げる。

現時点で「小規模事業者統合データベース」には国税庁が公表している約440万の法人情報や民間の企業調査会社が保有する企業概要情報、中小機構の個別システムから収集した約100万件の企業情報が格納されている。この機構内の企業情報には、研修や展示会等へ参加した企業データが含まれているため、各社の「企業カルテ」として、本部や各地の地域本部の現場が役立てている。

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「地域本部で中小企業の経営者と面談を行う前には経営状況や機構主催の研修や展示会などの利用有無を確認することも行われているようで、データベースを活用するようになって作業効率が向上したという声が多くの職員から寄せられています。今後ともアクセスログを常時モニタリングしたり、現場の声を取り入れることで、さらに使いやすいデータベースに成長させていきたいと思っています」。データベースは機構内にとどまらず、2016年度には外部の中小企業支援機関向けに全国の中小企業の基本情報提供を目指している。

 現在、中小機構では優れた技術や製品を保有する中小企業向けのビジネスマッチングサイト「J- GoodTech」をはじめとする、インターネットを活用した中小企業支援に注力しており、「小規模事業者データベース」はその中核としての役割を果たしている。今後、中小機構による支援業務がさらに充実し、日本を支える中小企業の発展へとつながることを期待したい。

※掲載している情報は、取材時点(2016年11月9日)のものです。

独立行政法人中小企業基盤整備機構
独立行政法人中小企業基盤整備機構

  • 事業内容
    経営相談、研修の企画・運営、資金の貸付やファンドへの出資、共済制度の運営などを通じて中小企業の支援を行う公的機関
  • 住所
    〒105-8453 東京都港区虎ノ門3-5-1 虎ノ門37森ビル
  • URL
    http://www.smrj.go.jp/

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