Project Story

プロジェクトストーリー

株式会社長谷工
コーポレーション様導入事例:会計購買システム

Introduction

営業と開発者が一体となって
大規模プロジェクトを成功に導く

マンション建設を事業の柱とし、管理・リフォームなどの関連事業をトータルに展開している業界最大手の長谷工コーポレーション。基幹システムの更改を計画していた同社に対して、NTTデータビジネスシステムズでは「imforce建設業統合基幹モデル(※)」の導入を提案した。すでに企画競争入札への参加が締め切られたところからの挑戦だった。大逆転で成果を挙げたビッグプロジェクトの軌跡を追った。

※ NTTデータビジネスシステムズではさまざまな業界向けに、販売・会計・人事などのバックオフィスソリューションを提供しており、豊富な実績とノウハウを集約させた当社オリジナルブランド「imforce」を展開する。建設業向けの「imforce建設業統合基幹モデル」では、引合・受注・工事・発注・支払・決算などの建設業に必要な業務領域をフルカバーしており、可変性の高さが特長。

Profile

新藤

デジタルエンタープライズ
企画営業部
営業担当

若林

デジタルエンタープライズ事業部
第四imforce部
開発担当(プロジェクトマネージャー)

小室

デジタルエンタープライズ事業部
第四imforce部
開発担当(チームリーダー)

企画競争入札締切り後の挑戦

「ぜひ我々にもチャンスをいただけませんか」。営業担当の新藤は長谷工コーポレーションのミーティングルームで熱く訴えた。NTTデータビジネスシステムズでは2017年、ある建設会社向けの基幹システム開発プロジェクトを成功に導く。プロジェクトを通じて得たノウハウを他のお客様にも拡大していくため、60社に上る建設会社にアプローチを始めた。その中の1社が長谷工コーポレーションだった。先進技術やオープンイノベーションを活用したDXに注力しており、次世代に向けた成長戦略のために基幹システムの更改を計画していた。同社の旧システムは既存のパッケージ製品だったが、元の姿がわからないほどにカスタマイズされ、法改正への対応だけでも大掛かりな改修が必要になるほど、システムとして限界を迎えていたのである。そこで、業容拡大に柔軟に対応できる新システムの導入プロジェクトが動き出していた。当社がアプローチした時点では、すでにシステムを発注する候補企業の選定が締め切られ、参加する企業には名だたる大手SIerが揃っていた。わずかな可能性を求めてアピールを続け、「それでは御社の製品の強みを教えていただけませんか」という担当者のひと言で、プロジェクトが大きく動き出した。

提案段階からプロジェクトは始まっている

お客様への提案書を作成するために、緊急で開かれたミーティングには、imforce開発担当の小室も参加していた。「ビッグネームへの提案のチャンスに、全力で取り組みたいと奮い立ちました」。後発での企画競争入札への参入だけに、他社との差別化を図らなければならない。営業チームと開発チームが協力し合いながら、お客様が新システムに求める100を超える要件に対して一問一答スタイルで答える、100ページにも及ぶ分厚い提案書をわずか1週間で作成した。「絶対に候補に残るため全力でプレゼンテーションに臨みました」と新藤は振り返る。その熱意がお客様の心に響いたのか、無事NTTデータビジネスシステムズは発注先として選定された。コンペで最後まで残ることができたのは、ひとえに開発と営業が一体となって提案プロセスを進めたことにあったと新藤は言う。長谷工コーポレーション内で新システムの発注先の選定を任されたのは、社内でも将来を嘱望されている若手メンバーたち。能力と意欲が高い一方でシステムの選定に関しては未経験だった。そこで、発注先が決定するまでの数カ月の間に選定メンバーとセッションの場をもち、今現在、そして未来に抱える根本的な課題を抽出し、どのような対応が可能なのかを開発担当が答えるスタイルで提案を繰り返した。

それがNTTデータビジネスシステムズへの信頼関係の構築につながったのだった。新システムを開発する上ではいくつかの課題があった。たとえば、長谷工コーポレーションでは全国で約200ヵ所の建設現場が動いており、工事の管理を行う技術者も新システムを利用することになる。その際に新システムの画面や操作性が既存システムと大きく違ってしまうと、現場の担当者にとって大きな負担になってしまう。そこで発注以前の提案の段階で、開発メンバーが現行システムに近しい画面を作成し、さらにロボットが業務を自動的に処理するRPA技術で業務効率化のサンプルも開発して、プレゼンの場で披露した。それらがお客様の心を動かした。「お客様の要望に柔軟に応えていくのが我々の強み。大変ではあったけれど、やりがいがありました」と小室は言う。そして、最初のお客様訪問から7ヵ月後。「御社に開発をお願いすることに決まりました」との電話が入り、フロアは騒然となった。提案に関わったメンバーたちは大きな喜びに包まれながらも、大変なのはこれからだと気持ちを引き締めた。

難易度が高いプロジェクトで
成功への鍵となる人財育成

開発プロジェクトはシステムのグランドデザインからスタートした。4ヵ月かけてお客様を知り、課題を洗い出して開発の方向性を明確なものにする。その上で、本格的なシステムづくりが始まった。「社内でも最大級のプロジェクトに気持ちが高ぶりました」。そう当時を振り返るのは、プロジェクトマネージャーの若林だ。およそ2年半に及ぶ開発期間の中で、ピーク時には100名以上のメンバーがプロジェクトに従事した。会社にとって新しい領域への挑戦。それだけに、若林は若手中心に集められたメンバーに対してチャレンジを求めた。「わからないことがあっても怯まず、チームの垣根を越えてでも積極的に他のメンバーにも聞いて与えられたことを単純にこなすのではなく、新しい技術へ果敢に挑戦しよう」。建設業界には工事が会計年度をまたいで長期化することや、他社と合同で工事を行うジョイントベンチャーという仕組みなど、業界ならではのさまざまな特徴がある。加えて長谷工コーポレーションの場合には、事業スタイルのオリジナリティが高いために、新システムには他にはない新しい要件が求められた。

そのため一つひとつの要件が会社固有のものかどうかを見極め、お客様が何を実現したいのかヒアリングし、それが本当に必要なのかを検証した上で一歩ずつ開発を進めなければならない。難易度が高いプロジェクトを進めるためには、メンバーへの教育は大きなテーマだった。「imforce建設業統合基幹モデル」の開発経験者は3名しかいなかった。メンバーの一部に過ぎない。経験者としてシステムに精通していた小室は、プロジェクトを進めながら並行して教育も行い、そこでノウハウを吸収したメンバーが、さらに未経験者を育てるというサイクルを作っていった。さらに、個別の機能だけではなくシステム全体の整合性が取れているのか、その点を検証できる人財を意識的に増やす努力もした。チームリーダーに挑戦したいというメンバーに対しては、スキルアップのための指導も行った。その結果、意欲あるメンバーたちが急激に成長していった。開発途中にはさまざまな問題も発生した。その一つがコロナ禍だった。重要なシステムテストの段階で対面での打ち合わせができなったが、Web会議を通じて綿密なコミュニケーションが取れる体制を整えて、その難局を乗り切った。そしてプロジェクト開始から2年8ヶ月後、会計購買システムは無事にカットオーバーすることができた。

挑戦によって
ビジネスも人も成長できる

「プロジェクトの成功で建設業界向けにimforceのブランドが確立されて、当社の実力を証明できた点でも大きな成果です。エンジニアにとっては、すべての業務を一気通貫で経験し、スペシャリストに成長できた案件でした」と若林は胸を張る。小室も「ここで育ったメンバーが別のプロジェクトでも活躍しているのがうれしい。自分自身でもプロジェクトを通じて、専門性を高められたことに達成感を感じています」と口を揃える。システムの導入で業務改善が大きく進んだ長谷工コーポレーションからは「同じ目線で一緒に課題に取り組んでいただき、NTTデータビジネスシステムズを選んでよかった」との言葉をいただくことができた。「新たに事業化していく製品で大きなチャンスをいただき、お客様には感謝しかありません。そして、開発と営業がチームになって無事にやり遂げられたことにとても感動しました」と営業の新藤は言う。その後、「imforce建設業統合基幹モデル」は建設業界内でその知名度が高まり、現在では業界を代表するような大手企業からの引合いも増えている。挑戦することでビジネスも人も成長していくことができる。チャレンジはこれからも続いていく。

集まる楽しさを、自分たちの成長へ。共創型レジデンス「コムレジ赤羽」

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